事例② 相続した実家 売る? 貸す?

2026年09月12日

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相続した実家、貸す?売る?―今回は「更地渡しでの売却」を選ばれた事例

 

以前、不動産の売却をお手伝いさせていただいたお客様からのご紹介で、

ご相談をいただきました。

 

ご実家にはお母様がお一人でお住まいでしたが、お亡くなりになり、

ご実家を相続されることになったとのことでした。

 

ご自身はすでに別の家にお住まいで、今後このご実家に住む予定はありません。

 

そこで、「賃貸として貸した方がいいのか、それとも売却した方がいいのか。

一緒に考えてほしい」というところから、ご相談が始まりました。

 

築40年以上。それでも、とてもきれいなお家でした

 

まずは一度現地を見せていただくことになりました。

築40年以上が経過した一戸建てでしたので、ある程度の傷みも

想定していました。

 

ところが、実際に拝見すると非常にきれいな状態でした。

 

お話を伺うと、お母様が定期的に外壁塗装や室内のリフォームをされ、

浴室やトイレなども10年以内に新しくされていたとのこと。

 

大切に住まわれていたことがよく分かるお家で、

大掛かりな改装をしなくても、そのまま賃貸としてお貸しすることは

十分可能だと感じました。

 

ただし、建物がきれいだから「賃貸が一番良い」とは限りません。

ここから、いくつかの条件を一緒に整理していきました。

 

きれいな家でも、現在のニーズとは少し違う部分がありました

 

築年数の経った住宅には、その時代ならではの間取りがあります。

今回のお家にもそういった時代ならではの間取りがありました。

 

和室の続き間です。昔はお正月や法事などで親戚が大勢集まることも多く、

続き間の和室はとても便利だったのだと思います。

 

一方、現在の住宅では広いLDKを希望される方が多くなっています。

続き間よりも子供部屋としては各部屋が仕切られている方がニーズが高いのです。

 

和室に面積を取っている分、LDKはそれほど広くありませんでした。

また、駐車スペースがないことも、現在の賃貸住宅として考えた場合には

マイナス要因になります。

 

賃貸としてお貸しすることはできる。

ただし、立地や建物の状態から期待できるほどの賃料になるかというと、

少し慎重に考える必要がありました。

 

中古戸建として売るか、土地として売るか

 

売却する場合にも、もう一つ選択肢がありました。

 

「中古戸建」として売却するのか、「古家付き土地」として売却するのか、という問題です。

 

建物そのものはきれいですから、中古戸建として利用していただくことも可能です。

 

しかし、中古戸建として考えると、先ほどの間取りや駐車スペースの問題があります。

 

現在の生活スタイルに合わせるには間取り変更や駐車スペースの確保が

必要になる可能性があり、そのまま住みたいという買主様はある程度限られそうでした。

 

一方、土地として考えると状況が変わります。

西宮市内で駅からもそれほど離れておらず、もともと売り物件があまり出ないエリアです。

 

土地を探している方にとっては、ご自身の希望する間取りや駐車スペースを

確保した新築住宅を建てることができます。

 

そのため今回は、中古戸建として購入していただく方を探すよりも、

土地として売却した方が購入希望者の幅が広がるのではないかと考えました。

 

もう一つ、大切だった「税金」のこと

 

そして今回、売却か賃貸かを考えるうえでもう一つ重要な判断材料がありました。

 

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3,000万円特別控除」です。

 

相続したご実家を一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から

最高3,000万円を控除できる制度があります。

 

もちろん税制には細かな適用要件がありますので、今回も私たちだけで

判断するのではなく、税務署や税理士の方にも確認を取りました。

 

その結果、今回のケースでは要件を満たせる可能性があることが分かりました。

 

制度を利用する方法についてもいくつか検討しました。

 

建物を耐震基準に適合させて売却する方法。

 

売主様側で建物を解体してから引き渡す方法。

 

一定の要件のもと、買主様側で引渡し後に耐震改修や解体をしていただく方法も

考えられました。

 

ただ、買主様側での対応を前提にすると、売却後に予定どおり工事が

行われなかったり、期限に間に合わなかったりするリスクも考えなければなりません。

 

そこで今回は、売主様側で建物を解体し、「更地渡し」とする方法を選びました。

 

少し高めの価格から販売を開始しました

このエリアは、もともと売り物件があまり出ません。

 

その希少性も考え、周辺相場だけを基準にするのではなく、

少し高めの価格設定から販売を開始しました。

 

結果として、売出しから約1か月で購入申込書をいただくことができました。

 

その後、売買契約を締結し、予定どおり建物を解体。

 

更地の状態で無事にお引渡しを終えることができました。

 

同じ「相続した家」でも、答えは変わります

 

以前ご紹介した相続マンションの事例では、売却と賃貸を比較した結果、

「賃貸として残す」という選択になりました。

 

今回のお家も、建物は非常にきれいで、賃貸に出すこと自体は十分可能でした。

 

それでも今回は、

 

建物の間取りや駐車スペース、賃貸にした場合の条件、土地としての需要、

今後ご自身で利用される可能性、そして税制面などを一緒に整理した結果、

「売却する」という選択になりました。

 

不動産は、よく似た条件に見えても、一つとして同じものはありません。

物件の状態、立地、法律や税金、そして所有されている方の状況や

お気持ちによって、選択肢は変わります。

 

だから私は、最初から「売りましょう」「貸しましょう」

と決める必要はないと思っています。

 

まず、どのような選択肢があるのか。

 

それぞれを選んだ場合、どのようなメリットや注意点があるのか。

一緒に整理してから決めていただければと思います。

 

今回のお客様にとっては、それが「更地にして売却する」という選択でした。

 

相続した不動産をどうしたらよいか分からない、という段階でも構いません。

 

まずは一緒に整理するところから、お気軽にご相談ください。

 

※本記事は個別のご相談事例をもとに、個人や物件を特定できないよう一部内容を調整しています。また、税制の適用には各種要件があります。税制はその時々で分かります。また、税理士以外の者が税に関する個別アドバイスをする事は法律上禁じられています。実際の適用については税務署・税理士等の専門家への確認が必要です。